病態生化学_呼吸器機能検査
こんにちは。
ラテアートできたらモテると思い、作りまくって目がギンギンのへっくんです。
#カフェインの罠
#ヒャッハー
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▼今回のゴール
呼吸器機能検査を理解する。
・換気障害の診断
・動脈血ガス分析
・喀痰検査
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▼換気障害の診断
スパイロメトリーを使い、呼吸の際に口元を出入りする空気量を測定します。
以下得られるデータです。
色分けした部分が基礎的なデータです。
この図の右半分の色のついていない部分を強制呼出曲線といい、換気障害の診断に用いられるデータです。
思いっきり息を吸って、思いっきり吐き出した時のデータです。
以下に詳しく載ってます。
肺活量と努力肺活量の違いがわかりにくいかもしれません。
・肺活量
ゆっくりと呼吸して測定します。ゆっくりと最後まで吐ききったところ(最大呼気位)から、空気をゆっくり胸いっぱい吸い込んだところ(最大吸気位)まで吸える量をみます。
・努力肺活量
胸いっぱい吸い込んだ空気を、できるだけ勢いよく吐いて測定します。最大吸気位から最後まで吐ききるまでの量をみます。
つまり、肺活量では肺の容積が小さくなっていないか、努力肺活量では気管支が細くなっていないかが分かりますね。
換気障害の診断ではこの二軸で見ています。
それぞれ変化がわかりやすいように変換されています。
肺活量→%肺活量
努力肺活量→1秒率
換気障害の分類は以下のようになります。
・拘束性障害
肺を十分に膨らませられない
→肺活量(%肺活量)に問題あり
・閉塞性障害
気道閉塞
→努力肺活量(1秒率)に問題あり
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▼動脈血ガス分析
指標は3つ
動脈血漿酸素分圧(PaO2)
動脈血CO2分圧(PaCO2)
動脈血pH
・動脈血漿酸素分圧(PaO2)
肺胞内の酸素がどれだけ血液中に取り込まれるかがわかります。
大気中の酸素分圧は160torrです。
呼吸に伴う加温加湿により150torrになります。
動脈血液ガスの酸素分圧の正常値が80~100torrであることから、肺胞内に取り込んだ酸素がすべて血液中に取り込まれるのではないということが推測できます。
肺胞内には体から放出された二酸化炭素も存在します。二酸化炭素(正常値:40torr)が運ばれてきて肺胞に放出されると、酸素の占める割合がその分だけ減り、肺胞気酸素分圧は110torrとなります。
さらに、肺胞から動脈血に移動するときに10torrのロスが生じ、100torrになります。
しかし、加齢とともにPaO2は減少するため、基準値も高齢ほど低くなっています。
低くなる原因に肺胞換気量の低下があります。
吸気のうち、ガス交換に関わらずに吐き出される量が増加してしまうんです。
・動脈血CO2分圧(PaCO2)と動脈血pH
PaCO2hは呼吸性酸塩基平衡障害の最もよい指標です。
動脈血pHと併せて診断されます。
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▼喀痰検査
痰を採取して、どのような病的な成分が含まれているか顕微鏡で観察する検査です。
この検査の優れているところは見た目で判断できることです。
このようなものが観察されます。
病態生化学_腎機能検査
こんにちは。
がんばったらご褒美にスイーツを買うのですが、最近はスイーツ食べたさにがんばった基準がどんどん下がっている気がするへっくんこと「ドーパミンに溺れた男」です。
さて、今日は腎機能検査を見ていきます。
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▼今回のゴール
腎機能検査の指標を理解する
・血中尿素窒素(BUN)
・血清クレアチニン(Cr)
・シスタチンC(Cys-C)
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▼血中尿素窒素(BUN)
血中尿素窒素とは、血液の中の尿素に含まれる窒素成分のことです。
腎臓で濾過され尿中に排泄されますが、腎機能低下時は濾過できない分が血液に残り、値が高くなります。
尿素の産生
タンパク質分解→アミノ酸→アンモニア→尿素(肝臓)
低値のとき
・肝不全→尿素の生成が低下するため
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▼血清クレアチニン(Cr)
クレアチニンとは筋肉のエネルギー源の代謝産物です。
そのため、クレアチニン量は筋肉量に依存し、基準値が男性の方が高くなっています。
老廃物なので、腎糸球体で濾過され、尿細管からもほとんど再吸収されません。
そのため糸球体濾過能の指標になります。
高値のとき
・腎前性因子
脱水や心不全などの循環血液量低下で、濾過の対象になるクレアチニン量が少ない
・腎性因子
糸球体腎炎、腎不全
・腎後性因子
尿管閉塞、前立腺肥大で糸球体濾過圧低下
❇︎ボーマンのう内圧が上がり、濾過されなくなる
糸球体濾過圧=糸球体血圧ー(血漿浸透圧+ボーマンのう内圧)
低値のとき
・筋肉量の低下(筋ジストロフィー)
・循環血液増加(妊娠中、糖尿病腎症初期)
クリアランス
ある尿中排泄物が1分間に除去された血液量
クレアチニンクリアランスの減少は、ネフロンの減少と比例するため腎機能検査に頻繁に用いられます。
▼推算糸球体濾過量(eGFR)
Cr、性別及び年齢から算出される腎機能の指標
Crの筋肉の影響を少なくしている!
慢性腎臓病(CKD)の指標になります。
CKD
①タンパク尿など腎障害が明らか
②GFR<60
①②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続
腎不全や心臓血管病を引き起こす恐れがあります。
また、生活習慣病と併発すると脳卒中や心筋梗塞のリスクが非常に高まります。
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▼シスタチンC(Cys-C)
シスタチンCは糸球体で濾過されます。
濾過後、99%以上が近位尿細管から再吸収されますが、アミノ酸に分解されるため血中には戻りません。
このため、シスタチンCの血中濃度は糸球体濾過量に依存しています。
クレアチニンは尿細管に一部分泌されるため、腎機能低下が相当進行しないと上昇が認められない問題点がありますが、シスタチンCでは早期に発見することができます。
しかし、シスタチンCは腎機能がかなり落ちた状態では上昇しにくく、末期腎不全の評価には向きません。
クレアチニンとシスタチンCをうまく使い分けたいですね。
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▼まとめ
<血中尿素窒素(BUN)>
高値のとき
・腎機能障害
・アミノ酸代謝亢進
低値のとき
・肝不全
<血清クレアチニン(Cr)>
筋肉量に依存
再吸収受けない
Ccr、eGFRとして評価
末期腎不全の評価に向く
<シスタチンC(Cys-C)>
再吸収、異化を受ける
早期腎不全の評価に向く
病態生化学_肝機能検査
こんにちは。
大学で導入された自動アルコール噴霧器の殺意がすごくてびくびく手を出してるへっくんです。
#手荒れの天敵
#ちゃんと毎回やってるよ!
さて、大学がはじまり、最初の週が終わろうとしています。
導入ばかりで、まとめるものがないなと思っていたら病態生化学に置いてけぼりにされました。
医療現場で間違いなく必要な知識なので、ていねいにまとめようと思います。
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今回のゴール
・肝細胞障害→逸脱酵素の上昇
・タンパク質合成能低下→アルブミン、ChEの低下
順番に見ていきます。
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▼肝細胞障害の指標
逸脱酵素とは、本来細胞内にいる酵素が組織障害などの理由で血液中に出てきたものです。
組織に特異的な酵素の上昇が認められればその組織の障害の指標になります。
肝臓では、3つあります。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
LD(乳酸脱水素酵素)
<ASTとALT>
AST:心筋>肝臓>骨格筋
ALT:ほぼ肝臓
ALTが肝臓に集中して存在するのには理由があります。
ALTの機能はアラニンをピルビン酸に変えることです。
そして、肝臓でやっていることといえば、糖新生です。
糖新生の基質としてピルビン酸が必要なため、肝臓にALTが多いんです。
以下、検査の基準値です。
ポイント
・健康状態では、AST>ALT
・血中半減期 AST:5-20h
ALT:40-50h
つまり、
基本、AST>ALT
長引くと、AST<ALT
これを意識すると上の表が理解できるはずです。
<LD(乳酸脱水素酵素)>
LDは、乳酸⇄ピルビン酸 の反応を触媒します。
LDを構成するサブユニットは二つあり、反応を進める方向が異なります。
H型:乳酸→ピルビン酸
ピルビン酸はTCA回路に入りATP産生に用いられます。
つまり、酸素が多い環境の組織ではH型が多いです。
M型:ピルビン酸→乳酸
嫌気的条件下ではTCA回路を動かせず、乳酸が最終産物になります。
嫌気的環境の組織ではM型が多いです。
どのLDが上昇しているかで問題のある組織がわかりますね。
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▼胆汁排泄障害
胆汁排泄障害とは、
①胆道が詰まる
②肝臓の機能低下でタンパク質を胆道に送れない
このような状態です。
指標となるのは、ビリルビンと肝胆道系酵素の上昇です。
どちらも肝臓から胆道を通って排泄されます。
このとき、胆汁排泄障害があると、胆汁が血液中に逆流してビリルビンや肝胆道系酵素の値が上昇するのです。
指標を詳しく見ていきましょう。
<ビリルビン>
ヘモグロビンの分解産物です。寿命を迎えた赤血球が、網内系で破壊されてできます。
この未修飾のビリルビンを、「間接型ビリルビン」といい、
肝臓でグルクロン酸抱合を受けたものを、「直接型ビリルビン」といいます。
赤血球破壊(網内系)→間接型ビリルビン→直接型ビリルビン(肝臓)→胆汁排斥
検査では、間接型、直接型と分けて測定します。
間接型ビリルビン高値のとき
・赤血球の破壊亢進→溶血性貧血
直接型ビリルビン高値のとき
・胆汁の排泄不十分→肝胆道閉塞
・胆道への排泄能低下→肝細胞障害
<肝胆道系酵素>
胆道系酵素は、肝臓で作られ、胆汁中に排泄されます。3つあります。
ALP(アルカリホスファターゼ)
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)
γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)
胆汁排泄障害のときには3つとも値が上昇しやすいです。
ただし、ALPは骨の疾患でも上昇するので注意が必要です。
LAPは骨の疾患では上昇しないので、ALPとLAPが一緒に上昇していたら肝臓・胆道系の疾患、LAPだけ上昇していたら骨の疾患と推測できます。
また、γ-GTはアルコールに敏感に反応し、上昇するため、アルコールによる肝障害の指標となります。
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▼タンパク質合成能低下
指標となるのは、血清タンパク質とChEです。
<血清タンパク質>
血清タンパク質を電気泳動すると、移動度から
アルブミン
α1-グロブリン
α2-グロブリン
β-グロブリン
γ-グロブリン
の5つに分けられます。
γ-グロブリンは免疫グロブリンのことです。
γ-グロブリン以外は肝臓で作られます。
このことから
アルブミン低値のとき
・肝硬変→タンパク質合成低下
・ネフローゼ症候群→アルブミン尿中排泄
γ-グロブリン高値のとき
・炎症→慢性感染症、肝障害、ネフローゼ症候群(腎臓の炎症)
<ChE>
真性ChEと偽性ChEがあります。
偽性ChEは肝臓でのみ合成されるので、肝臓でのタンパク質合成能が低下すると値が低くなります。
また、脂質代謝にも関わっているため、栄養過多で起こる脂肪肝や脂質異常症では、値が上昇します。
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▼まとめ
・肝細胞障害→逸脱酵素の上昇
(AST、ALT 、LD)
・胆汁排泄障害
→ビリルビン、肝胆道系酵素(ALP、LAP、γ-GT)の上昇
・タンパク質合成能低下→アルブミン、ChEの低下
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以上で肝臓おわり!
病態生化学は必要な知識なので毎回まとめようと思います!
またね〜
抗菌薬④抗MRSA薬、抗結核菌薬、その他特殊な抗菌薬
おはようございます。
近所のモーニングの豪華さに感動してカフェ巡りをしているへっくんです。
#グッドモーニング
さて、長らく書いてきた抗菌薬も最後です。
抗MRSA薬、抗結核薬のまとめとその他の抗菌薬の紹介です。
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〜抗MRSA薬〜
抗MRSA薬には3つの重要なポイントがあります。上の表のとおり、殺菌性、治療薬物モニタリング(TDM)、投与経路の3つです。
TDMとはなんぞやって話だと思うので説明します。TDMは血中濃度測定と同じ意味です。目的は、血液中の薬物濃度を測定し、有効な濃度を維持しつつ、副作用を起こさない濃度に維持することです。
TDMが必要な薬剤は、①血中濃度が不安定か推測しにくい、②治療域が狭い、のどっちかor両方の特徴を持っているものです。抗菌薬の中で代表的なのが抗MRSA薬のバンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシンです。
TDMで測定する項目はトラフ値とピーク値があります。採血のタイミングが重要で、血中濃度が定常状態になってからの採取になります。トラフ値は次の投与の直前、ピーク値は投与完了後1時間で採血します。薬により測定する項目が異なり、バンコマイシンとテイコプラニンではトラフ値のみを、アルべカシンではトラフ値とピーク値を測定します。
分類
抗MRSA薬の分類と大事なポイントをまとめました。
〜抗結核薬〜
結核菌は慢性感染します。原因は2点。
・増殖が一般の細菌に比べ、圧倒的に遅くコロニーを形成するのに数週間かかる。
・分厚い脂質に覆われることで食細胞に消化されにくい。
経過が慢性だと治療も長期になります。長期になると耐性菌が発生しやすくなるため、多剤併用療法が原則です。しかし、長期にわたる多剤併用は副作用のリスクを高めます。主な結核菌薬と副作用は下表のとおりです。
結核の多剤併用療法として、A法(2HRE(S)Z/4HR)とB法(2HRE(S)/7HR)があります。各アルファベットは使う薬を表しており、数字は投与期間を表しています。下の図を参照してください。
INHとRFPに耐性の結核菌を多剤耐性結核菌、第二選択薬であるカナマイシンやキノロン系にも耐性を示す場合を超多剤耐性結核菌といいます。これらに対する抗結核薬として開発されたのが、デラマニドとベダキリンです。どちらも耐性菌の発生を防ぐため、他の薬剤と合わせて少なくとも3剤以上で治療することが決められています。
〜その他の抗菌薬〜
ここでは特化した性能を持つ抗菌薬を紹介します。
特にコリスチンは薬剤耐性グラム陰性菌に対する最終兵器です。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌、多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクターに用いられます。
その他の抗菌薬の特徴を以下まとめました。
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抗菌薬を一通りまとめられたかなと思います。
覚えるのはしんどいですが、、、
もう春休みも終わるので、これからは毎日の授業の復習にごちゃごちゃ書いていきます。
またね
抗菌薬③タンパク質合成阻害薬
こんにちは。
春休み中のお土産だけでしばらく食っていけそうなへっくんです。
#思い出は重いで
さて、今日はタンパク質合成阻害薬を見ていきます。
殺菌的なアミノグリコシド系、静菌的なマクロライド系、テトラサイクリン系があります。
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〜アミノグリコシド系〜
特徴として、タンパク質合成阻害薬の中で唯一殺菌的なこと、バイオアベイラビリティ不良のため内服不能なこと、細胞内移行性不良のため細胞内増殖菌に無効なこと、活性に酸素が必要なため嫌気性菌にも無効なことが挙げられます。
また、薬剤によって特有のスペクトルをもち、Ⅰ〜Ⅴ群に分けられます。臨床的にはⅠ、Ⅲ、Ⅴが重要です。Ⅰ群は結核、Ⅲ群は緑膿菌、Ⅴ群はMRSAに用いられます。かなり専門家の集団ですね。副作用として第8脳神経障害(内耳障害)、腎障害があります。
〜マクロライド系〜
特徴として、静菌的なこと、バイオアベイラビリティ良好なため内服可能なこと、細胞内移行性良好なため細胞内増殖菌にも有効なことが挙げられます。
主な使用用途は、肺炎マイコプラズマ、レジオネラ、MAC、Campylobacter jejuni/coli、Helicobacter pylori、びまん性汎細気管支炎(DPB)です。
マクロライド系薬は複数ありますが、一般的に使用されるのは14員環のエリスロマイシン、クラリスロマイシン、15員環のアジスロマイシンの3つです。副作用は比較的少ないですが、肝障害、消化器症状があります。
〜テトラサイクリン系〜
特徴として、静菌的なこと、バイオアベイラビリティも細胞内移行性も良好なことがあります。ただし、副作用が大きいことから一般的な感染症治療の第一選択になりにくいです。リケッチアに対しては第一選択です。
副作用の原因となるのが、この薬にキレート作用があり、カルシウムを含む組織に沈着しやすいことです。このため、小児の歯牙異常を起こす恐れがあります。また、カルシウムを含む牛乳などと一緒に内服すると難吸収性の錯体となり効果が弱まります。
他にも光で分解されやすい性質から光線過敏の原因となったり、低pHに調整されていることから空腹時に内服すると胃腸障害をきたすことがあったりします。たしかに使いにくいですね。
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タンパク質合成阻害薬は種類が多いですが、
〜マイシン→アミノグリコシド系、〜スロマイシン→マクロライド系、〜サイクリン→テトラサイクリン系
と法則はあるので頑張って覚えます。
またね
抗菌薬②キノロン系
こんにちは。
掃除をしても次の日には散らかることを「恒常性」というのだと理解したへっくんです。
#だらしないだけ
さて、今日はキノロン系を見ていきましょう!
let'sキノロン
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〜キノロン系〜
キノロン系薬はDNA合成阻害薬で、細菌の持つ酵素のDNAジャイレースとDNAトポイソメラーゼⅣを標的にします。スペクトルが広く、殺菌性に優れ、細胞内移行性やバイオアベイラビリティが高いという長所があります。ただし、嫌気性菌に弱いのと、標的の点突然変異によって耐性化されやすいのが短所です。
最も初期のキノロン系をオールドキノロンといい、フルオロ基をつけた第2世代以降をニューキノロンといいます。順番に見ていきましょう。
・第1世代(オールドキノロン)
キノロン系はβラクタム系とは違い、グラム陰性菌に強いイメージです。特にこの第1世代は、ほぼグラム陰性菌にしか効きません。ただし、緑膿菌には無効です。グラム陽性菌にもほぼ無効であったことや代謝が不安定だったことから使用は限定的でした。
・第2世代
第1世代と比べて緑膿菌にも効くようになりました。細胞内移行性が改善されたため、レジオネラ、クラミジアなどの細胞内増殖菌にも有効です。
・第3世代
ここでようやくグラム陽性菌にも効果を示すようになります。特に肺炎球菌性肺炎に効果が期待できることからレスピラトリーキノロンとも呼ばれます。グラム陽性菌〜緑膿菌まで対応し、広域抗菌薬に該当します。
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キノロン系終わり!
次はタンパク質合成阻害薬を見ていきます。
アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系です。
またね
抗菌薬① βラクタム系
こんにちは。
乗換案内アプリでバス停の位置を調べたところ、交差点のど真ん中が表示されて都会の怖さを知ったへっくんです。
#そんなアクロバティックな乗車できない
#結局バス停見つからなかった
さて、今日から抗菌薬を細かく見ていきます。
まずは、βラクタム系から!
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〜βラクタム系〜
細胞壁合成阻害薬です。そのため、細胞壁を持たないマイコプラズマには効きません。
また、細胞内移行性も極めて悪いため、細胞内で増殖する非定型菌にも無効です。
主なβラクタム系薬の分類としてペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系があります。効果のある菌種の範囲(スペクトル)が違い、ペニシリン<セフェム系<カルバペネム系の順に広くなります。抗菌薬が効きやすい順に細菌を並べると、グラム陽性菌>グラム陰性菌(緑膿菌除く)>緑膿菌となります。ペニシリン系はグラム陽性菌、セフェム系は緑膿菌を除くグラム陰性菌まで、カルバペネム系は緑膿菌まで対応しています。
もう一つ大事なポイントとしてβラクタマーゼに対する安定性です。βラクタマーゼは細菌が産生する酵素で、βラクタム系薬を分解してしまいます。ペニシリナーゼ、セフェマーゼ、カルバペネマーゼがあります。分解する薬の範囲はペニシリナーゼ<セフェマーゼ<カルバペネマーゼの順に広くなります。セフェマーゼはペニシリンもセフェムも分解するし、カルバぺネマーゼは全てのβラクタム系を分解します。
ここからは各系統をもう少し掘り下げます。スペクトルを広くする工夫を見ていきましょう。
①ペニシリン
・古典的ペニシリン(ペニシリンG)
適応はほぼグラム陽性菌のみ。
・アミノペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン)
旨味成分「アミノ基」をつけることでグラム陰性菌にも効くようになりました。ただし緑膿菌やアシネトバクターには効きません。しばしばβラクタマーゼ阻害薬のスルバクタムやクラブラン酸が配合されます。
・ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(メチシリン、オキサシリン、ナフシリン)
ペニシリンGを分解するペニシリナーゼでは分解されません。黄色ブドウ球菌の半数以上はペニシリナーゼを産生するため、それに対抗するために作られたそうです。
・抗緑膿菌作用のあるペニシリン(ピペラリシン)
唯一緑膿菌に効果のあるペニシリンです。βラクタマーゼ阻害剤のタゾバクタムが配合されることがあります。これはグラム陽性菌〜緑膿菌まで、さらに嫌気性菌にも有効です。広域抗菌薬に該当します。
②セフェム系
これはめっちゃ種類があるの大まかな分類だけで許してください。第1世代〜第4世代まであります。スペクトルを見ると、第1世代はグラム陽性菌、第3世代はグラム陰性菌に偏っていて、第2世代は第1と第3の中間な感じです。第3世代は抗緑膿菌作用の有無でも大きく分けられます。第4世代は第1世代と第3世代を足したようなスペクトルで広くカバーしています。
③カルバペネム系
グラム陽性菌・陰性菌、嫌気性菌までカバーしています。
グラム陽性菌>陰性菌 イミペネム、パニペネム
グラム陽性菌<陰性菌 メロペネム、ビアペネム、ドリペネム
といった傾向があります。
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またね