へっくん日記

勉強したことまとめます

病態生化学_肝機能検査

こんにちは。
大学で導入された自動アルコール噴霧器の殺意がすごくてびくびく手を出してるへっくんです。
#手荒れの天敵
#ちゃんと毎回やってるよ!

 

さて、大学がはじまり、最初の週が終わろうとしています。
導入ばかりで、まとめるものがないなと思っていたら病態生化学に置いてけぼりにされました。

医療現場で間違いなく必要な知識なので、ていねいにまとめようと思います。

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今回のゴール
・肝細胞障害→逸脱酵素の上昇

・胆汁排泄障害→ビリルビン、肝胆道系酵素の上昇

・タンパク質合成能低下→アルブミン、ChEの低下

 

順番に見ていきます。

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▼肝細胞障害の指標

逸脱酵素とは、本来細胞内にいる酵素が組織障害などの理由で血液中に出てきたものです。
組織に特異的な酵素の上昇が認められればその組織の障害の指標になります。

肝臓では、3つあります。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
LD(乳酸脱水素酵素

<ASTとALT>

AST:心筋>肝臓>骨格筋
ALT:ほぼ肝臓

ALTが肝臓に集中して存在するのには理由があります。
ALTの機能はアラニンをピルビン酸に変えることです。
そして、肝臓でやっていることといえば、糖新生です。
糖新生の基質としてピルビン酸が必要なため、肝臓にALTが多いんです。
以下、検査の基準値です。

f:id:hogkun:20210410080500j:image

ポイント
・健康状態では、AST>ALT
・血中半減期 AST:5-20h
                         ALT:40-50h
つまり、
基本、AST>ALT
長引くと、AST<ALT

これを意識すると上の表が理解できるはずです。

<LD(乳酸脱水素酵素)>
LDは、乳酸⇄ピルビン酸 の反応を触媒します。
LDを構成するサブユニットは二つあり、反応を進める方向が異なります。

H型:乳酸→ピルビン酸
ピルビン酸はTCA回路に入りATP産生に用いられます。
つまり、酸素が多い環境の組織ではH型が多いです。

M型:ピルビン酸→乳酸
嫌気的条件下ではTCA回路を動かせず、乳酸が最終産物になります。
嫌気的環境の組織ではM型が多いです。
 f:id:hogkun:20210410153305j:image

どのLDが上昇しているかで問題のある組織がわかりますね。

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▼胆汁排泄障害

胆汁排泄障害とは、

①胆道が詰まる
②肝臓の機能低下でタンパク質を胆道に送れない

このような状態です。

指標となるのは、ビリルビンと肝胆道系酵素の上昇です。
どちらも肝臓から胆道を通って排泄されます。
このとき、胆汁排泄障害があると、胆汁が血液中に逆流してビリルビンや肝胆道系酵素の値が上昇するのです。

指標を詳しく見ていきましょう。

ビリルビン
ヘモグロビンの分解産物です。寿命を迎えた赤血球が、網内系で破壊されてできます。
この未修飾のビリルビンを、「間接型ビリルビン」といい、
肝臓でグルクロン酸抱合を受けたものを、「直接型ビリルビン」といいます。

赤血球破壊(網内系)→間接型ビリルビン→直接型ビリルビン(肝臓)→胆汁排斥

検査では、間接型、直接型と分けて測定します。

間接型ビリルビン高値のとき
・赤血球の破壊亢進→溶血性貧血

直接型ビリルビン高値のとき
・胆汁の排泄不十分→肝胆道閉塞
・胆道への排泄能低下→肝細胞障害

<肝胆道系酵素
胆道系酵素は、肝臓で作られ、胆汁中に排泄されます。3つあります。

ALP(アルカリホスファターゼ)
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)
γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)

胆汁排泄障害のときには3つとも値が上昇しやすいです。

ただし、ALPは骨の疾患でも上昇するので注意が必要です。
LAPは骨の疾患では上昇しないので、ALPとLAPが一緒に上昇していたら肝臓・胆道系の疾患、LAPだけ上昇していたら骨の疾患と推測できます。
また、γ-GTはアルコールに敏感に反応し、上昇するため、アルコールによる肝障害の指標となります。

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▼タンパク質合成能低下

指標となるのは、血清タンパク質とChEです。

<血清タンパク質>
血清タンパク質を電気泳動すると、移動度から

アルブミン
α1-グロブリン
α2-グロブリン
β-グロブリン
γ-グロブリン

の5つに分けられます。

γ-グロブリン免疫グロブリンのことです。
γ-グロブリン以外は肝臓で作られます。

このことから
アルブミン低値のとき
・肝硬変→タンパク質合成低下
ネフローゼ症候群アルブミン尿中排泄

γ-グロブリン高値のとき
・炎症→慢性感染症、肝障害、ネフローゼ症候群(腎臓の炎症)

<ChE>
真性ChEと偽性ChEがあります。
偽性ChEは肝臓でのみ合成されるので、肝臓でのタンパク質合成能が低下すると値が低くなります。
また、脂質代謝にも関わっているため、栄養過多で起こる脂肪肝脂質異常症では、値が上昇します。

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▼まとめ

・肝細胞障害→逸脱酵素の上昇
      (AST、ALT 、LD)

・胆汁排泄障害
 →ビリルビン、肝胆道系酵素(ALP、LAP、γ-GT)の上昇

・タンパク質合成能低下→アルブミン、ChEの低下

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以上で肝臓おわり!
病態生化学は必要な知識なので毎回まとめようと思います!

またね〜